DNAバンクとは
DNAバンクとは
統合失調症・気分障害・てんかんは、精神神経疾患の中でも多くの研究を必要とする病気です。これらの疾患の原因は長年の研究にも拘らず、いまだ不明な点が多く、原因解明およびその治療法開発は精神疾患の根本的課題と言えます。
福島県立医科大学神経精神医学講座では、このような病因究明と治療法開発のためにDNAバンクを設立しています。
DNAバンクとは、患者さんやそのご家族の方から血液を採取させて頂き、そこからDNAを抽出して保存し、疾患に関連する遺伝子を探索し、将来的には疾患関連遺伝子研究の結果に基づく治療を行うことを目的とする組織です。
登録までの流れ
DNAバンクでは、DNAと疾患関連遺伝子研究のため、精神疾患のDNAの抽出、保存、解析を行っています。
DNAバンクが必要な理由
血液から抽出したDNAは安定した状態で保存されます。そして、保存されたDNAは、病因解明をするばかりでなく、現在不可能な研究も将来、使用することで研究可能とすることもできるのです。
薬物反応性・副作用に関する研究
精神神経疾患の治療では、薬物治療が大きな役割を果たしますが、DNAバンクでは、患者さんの治療に使われるお薬の効果や副作用に関する研究も行っています。
この研究では、
①お薬がきくかどうか(薬物反応)
②副作用が出ないかどうか(副作用発現)に関する遺伝子
を調べています。
この研究には、向精神薬による薬物療法を受けている患者さんの血液が必要になります。
現在、福島県内のネットワーク病院での採血による登録を行っています。他県の皆様からのお申し出に答えられない現状ですが、もし福島にお越しいただく機会がありましたらお考えください。
なお、DNAバンクに登録いただく皆様には、採血と一緒に臨床情報の提供もお願いすることになります。
DNAバンクの倫理上の注意点
膨大な遺伝情報を有しているDNAの保管は厳重におこなわなければなりません。
当DNAバンクでは次の点に細心の注意を払っています。
① プライバシーを固く守ります。
② 研究の主旨を理解し同意をいただくための説明文や同意文書をよく整備します。
③ 一度DNAを抽出した後でも同意を撤回される場合は、プライバシーを守りDNAや資料を廃棄します。
DNAバンクに登録するには
ご協力者から少量の血液を採血させていただきます。その際、臨床情報のご提供をお願いしています。
この研究手技での危険性はありません。
*現在、DNAバンクへの登録のための採血は、福島医大および一部の関連病院のみでの実施となっています。
DNAバンクの解析対象
できれば、患者さんと健常近親者とを比較するのが病因解明への近道です。この方々のDNAを比較すると病気になりやすいDNAを見つけやすいのです。